
2015/09/26 更新
人の歯は生まれてから、乳歯がはえてきて、はえそろってから、順番に永久歯にはえかわります。それまでの過程においては体の成長発育期とも重なり、ともに変化していきます。多少前後すると思いますが、一般的に18歳ぐらいで体の成長発育は止まると言われています。それより前に永久歯歯列は完成していて、永久歯歯列が完成してからその歯を一生使うことになるわけですが、残念ながら途中で失われてしまう歯もあるわけです 前回までに何回かに分けて書きましたように様々な理由で歯が失われるわけですが、失われない歯もたくさんあります、そこでもともと備わっている歯の性質というか特徴というか機能はすり減る事と、動く事です。このふたつの機能で自らを守っているのだと思います。
患者さんは普段 自分の歯が動くことを気付いていないと思います、(歯周病が進行してぐらついていれば別ですが)しかし健康な大人の歯であっても動くのです、というか動けるのです。歯に力がかかり続ければ動けるのです、そのため成人矯正治療ができるのです、あごの骨に埋まっている歯の周りの構造は歯とあごの骨は直接くっついていなく、両者は歯根膜という繊維によってつながっているので、大雑把に説明しますと 歯に力が加わり続けると力が歯根膜繊維に伝わりさらにあごの骨に伝わります。最後にあごの骨に加わる力の方向で、押される方向であれば 骨が吸収して喪失し、引っ張られる方向であれば 添加といって骨が作られます。このように吸収と添加を繰り返して歯が動いていくわけです。矯正治療のように歯に装置をつけて意図的に歯に力をかけて動かさなくても、無意識的 意識的問わず歯に力が加わり続ければ歯は動いていくのです、例えばすきっ歯の人が前はこんなにすいていなかったのですとか、出っ歯の人がどんどん出っ歯になってきている気がしますというお話しを聞くことがありますが、実際に歯が動いているのです。さらに糸ようじとかデンタルフロスのような糸状の清掃器具を使っている人は同じ場所に糸を通したとき日によって抵抗の強さ弱さを感じることがあるでしょう、それは歯が動いている証拠です。
このように歯が動く時にそれを結果としてとらえ、原因は何か?理由は何か?を考え診断をして、もし原因がわかってその結果歯が動いたとして、それを容認できるか もしくは改善の必要があるかを判断します。
また 患者さんの自覚として最近 食事をして歯と歯の間に物がよくはさまる(虫歯の場合もありますが)とか、見るからに歯並びが変わってきている気がするとか感じることがあれば、早めに歯医者さんに行って見てもらうことをお勧めします。早めに対応出来れば結果的に口の中を守れるでしょう。患者さんには様々な理由により、結果 構造上 歯が動けることを知ってもらい、より長く自分の歯を使い続けて欲しいと思います。
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